
悦虐
「父は私に子宮をくれた」
ベッドの上、エンバー・ゴータシュは誘導されるがままティーフリングの薄い腹へ手を這わせた。自身の身体が子を産み増やすように出来ていると知ったばかりの頃は何を思ってか表情の一切が消え失せていた顔も、今やうっとりとしながら視線を天井へ遣り微笑んでいる。エンバーにとっても薄気味の悪い仕草ではあったが、しかし、今だけは同じように感謝したい気分だった。
「父がくれたこの胎に、お前の子が欲しい」
娼婦傭兵商人兵士貴族――今までに抱いたどの存在よりも触れ難く、壊し難く、愛し難く、それ故に欲望が尽きない。そんな相手に孕ませてくれと言われては、燃えるように熱を帯びても仕方の無いことかもしれない。
エンバーの手はダークアージの腹を強く押し、肉越しに内臓へ語りかける。「欲しいのか」と問えば、ダークアージの微笑みはエンバーへ向けられた。なんとも穢らわしく、無垢な聖女のようだと男は思う。
「お前、処女だっただろう――俺の抱き方を覚えたら、他の男なんて物足りなくなるぞ」
「……それの、なにが問題だ?」
「俺のものでしか悦べなくなる」
「だから、それのなにが問題なんだ。エンバー、お前は私が他の子種で孕めばいいと思っているのか?」
まさか。エンバーは鼻で笑うと、ダークアージの首元へ顔を埋めた。そして噛んだ。支配欲は加虐として振るわれる。ティーフリングの体はヒューマンよりも丈夫だ、なにをしてもいい。乳首を摘みながらキスをした。なにをしてやろうか。ぴんと伸びた尻尾を見るに、乱暴を働いた方が喜ぶと知れた。胸の先端に爪を立てれば予感は当たり、女はまだ下手くそな喘ぎ声を小さく洩らす。
いっそ――いっそ深窓の令嬢よりも優しく抱いて、苦しめてやりたくもなる。
だが、互いに望まないことだ。
エンバーはダークアージ脚を広げさせると自身の唾液をたっぷりと絡めた指を二本、女の膣へ捩じ込んだ。ひとりで慰めたことも無いのだろう――そしてエンバーのせいで覚えていくのだろう――そこを解しながら、男はまだ触れていない陰茎が固く張り詰めていくのを感じていた。
「煽ったのはお前だ。眠れると思うな、ダークアージ」