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君の銀の翼
「俺もエムリックの生徒になろうかな」 聞き流しても構わないと言わんばかりの態度で、しかし聞こえるように呟かれた声は、きっと口にした本人の予想を飛び越えてしっかりと“教授”に届いた。 宝飾で埋め尽くされても品格を損なわない(富の王とは大きな... -
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毒の回路
「先生」 と、毒蛇が甘い声で囁く。 安ホテルの浴室で反響するその声は情事のそれを思わせた。 内臓のついでに理性まで溶かしてしまったのか、血流を阻害するものが死の間際に恍惚を与えているのか、ただ、蜜のような嬌声へ引き寄せられたようにF.A.... -
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爪先の向こうで世界は終わって
私のおじいさまは、世界でいちばんのおじいさま! だって強くて、もちろん賢くて、とっても残酷で、すごく優しい。嫌なやつがいるのと言えば、月が昇るよりはやく消し去ってくれる。欲しいものがあるのと言えば、陽が沈むよりはやく手に入れてくれる。... -
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かつての光
「おぬしも白髪が増えたな」 夏侯惇の頭髪を撫で付けては乱しながら、曹操は感慨深げに――夏侯惇にはそのように聞こえたが、実際のところはわからない――そう言った。しかもついでとばかりに一本、毛を抜き取ったらしい。自らの血を分けた子にさえ許したこ... -
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楽園にはまだ遠くとも
光を取り戻した地の穏やかな夜が明けて、優しい陽射しが一面を照らす頃。ヒバリの鳴き声と共に身を起こしたハルシンは、眠るティーフリング――ダークアージを起こさぬように、その額へ口付けた。(どんな夢を見ている?) ダークアージの眉間に皺は無い... -
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これはただのセックス
興奮を覚えないわけではない――ヴェルギリウスは、自身の期待や予想よりも熱を持ってしまった息をダンテの首筋へ吹き掛けてそのまま、抵抗らしい抵抗も見せない彼の痩躯を噛んだ。 血鬼のそれとは比べ物にならないような戯れとはいえ、既に身体中を蹂躙... -
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鉢植えを買いに行く男
隠し刀は死んだという。 いつ、どこで、だれのせいでとも知れないが、とにかく俺は“それ”が死んだことを“そいつの首”から聞かされている。夜半、気配も無く枕元に立っていた(いや、正確に言うなら転がっていた)生首の声に起こされるばかりかそいつは... -
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色恋手習い・一日千秋
「習うより慣れろって言うだろ?」「……初めて聞いたが。まあ、お前の言いたいことはわかる」 本当だろうか、と伊賀七は目の前のひとを疑ってみた。それが悪いわけではなく、むしろ可愛らしいところではあるのだが、浪人は変に意地を張るところがあるから... -
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上等な狗
「斎藤だ」 童が犬を見て犬だと声に出してみるように呼ばれた。 長屋の戸が内側から開かれたことに驚きは無かった。だが、――“隠し刀”が顔を出すとは思わなかった。その顔が俺を認めて微笑むこともまた、予想だにしなかった。「茶でも飲みたいのか?」と... -
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夜風みたいにやさしくしてね
灰青の尾が揺れて脚に絡み付く。拘束とも呼べないそれの先端が内腿をくすぐり、ハルシンは小さな声で「どうした?」と聞いた。途端に去っていく細い尻尾は定位置まで戻ると反省でもするかのように垂れたのに、持ち主である女はくすくすと笑うばかりで何...
