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マルジャーナ、君に相応しい
女は海だ。女は空だ。女は陸だ。数々の喩えが頭を過って、そのすべてを否定する。 目の前にある女の肢体は、この世に二つとない我が宝だと確信した。「ぺ、るり、いい、きもちいい……っ」 停泊する艦の船長室には誰も来ないのをいいことに、恋人を連れ... -
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幾望も恥じらい身を潜めよう
鍋どころか肴も無いぞ。なに、君が居るじゃあないか。 ――決まりきった問答を済ませ、桂は浪人が主な居とする長屋の敷居をふらりと跨ぐ。 ありとあらゆる者が勝手気侭に出入りする長屋とはいえ、亥の刻も終わる頃にはほとんど誰も居なくなる。その例外... -
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愛、有るまじき
封鎖された竜岩砦の問題を明日に持ち越すと決めたダークアージ一行は、バルダーズゲートを目の前にして騒つく胸底と向き合うためにも早々に休息を取ることにした。幸いにして今夜のシャレスの抱擁にはそれぞれで借りられるほどの部屋があり、この先で宿... -
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愛及屋猫
「鼠捕りの礼を持ってきた」 ――――という口実で隠し刀の住まいである長屋にやって来たペリーは、暫く足を運んでいなかった間に加わったらしい猫たちから威嚇されつつもいつものように庭へ立った。 良いところも悪いところも塒の主人に似ている猫たちは暫... -
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浪々福々
恋仲の者が、目隠しをされた状態で転がっている。 常ならば焦るべきであろう事を前にして、福沢諭吉はどうしたものかと顎を擦った。彼の足元へ猫が擦り寄ってみゃおみゃおと鳴く。庭で休んでいるこんぴら狗もわんと鳴く。慣れ親しんだいつもの長屋式の... -
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そごみぞ
いつもの長屋から、いつもと違う音が聴こえる。 足を止めたのは必然だった。最後に長屋へ邪魔したときには三味線など置かれていなかったはずだと思いながら、桂は恐る恐る戸を開く。先客が居れば気付かれぬうちに立ち去ろう――誰も居なければどうするつ... -
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KILLER
死と踊る姿は天使のようだった。画家に描かせれば数百年後も呪われた絵として賞賛を浴びるのだろう――描いた者に不幸があればもっといい。その者の血で描かせてやってもいい。解き放たれた衝動に身を任せて娼婦の柔らかな肢体をベハルへ捧げる彼の純血の... -
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夜も荒野もひとりじゃないから
薬草園の匂いがする――ぼうっとする意識でそんなことを考えながら、ダークアージは匂いの元へ顔を擦り寄せた。頭上でなにかを耐えるように細く息を吐く気配がしてそっと見上げてみれば、「かわいいな」と耳を優しく撫でられる。ハーフドラウの耳は他の種... -
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悦虐
「父は私に子宮をくれた」 ベッドの上、エンバー・ゴータシュは誘導されるがままティーフリングの薄い腹へ手を這わせた。自身の身体が子を産み増やすように出来ていると知ったばかりの頃は何を思ってか表情の一切が消え失せていた顔も、今やうっとりとし... -
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君が為の嵐
タヴにとって、それは己のすべてが奪われるのに等しかった。最初は居場所を得るために、次は身を守るために、その次は食い扶持を稼ぐために、繋ぎ合わせるように理由は増えて、そうして人生を捧げてきた。目の前で無情に転がるハーフドラウの鉛色をした...
